一つの中国とは

今日は国会。マイナンバー法等改正案( https://www.digital.go.jp/laws/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/ )についてです。いつもそうなのですが、無所属の会派の法案聞き取りは、役所作成資料(いわゆるポンチ絵)を参照せず、法律案を開きながらやるので役所側からすると厄介でしょう。

「健康保険証の廃止とあるが、そもそも保険証の交付の義務はあるのか?」、「公金受取口座に関する情報の目的外使用についてどの程度可能なのか?」、そんな議論が展開されていました。現行法上、健康保険証の交付の義務は法律には書かれておらず、省令で対応していると言っていました。なので、「廃止」と言っても、法令上は廃止と書かれるわけではありません。厚生労働省ってスゴい役所だなと思います。

そして、本会議。入国管理法改正案の審議入り。名古屋出入国在留管理局に収容中、亡くなられたスリランカ国籍のウィシュマさんのご遺族が傍聴に来られていたのに、審議が始まるタイミングでぞろぞろと本会議場から出ていく野党第一党議員。登壇した同党議員は情熱的に問題点を指摘していましたが、それ以前の問題として、審議前にぞろぞろ出ていった同党議員は自分の行動に矛盾を感じないのかな、と首を傾げました。

先日、中国情勢に詳しい方とお話する機会がありました。馬英九元総統の訪中時の発言は「『一つの中国』と『その中国とは中華民国』」が前提でした。このポジションを共産党政権はどう見ているのか、について考えさせられました。

勿論、共産党の方針は「『一つの中国』と『その中国は中華人民共和国』」です。ただ、台湾の中でもかなり親中派である馬英九元総統ですら言えるのは、「『一つの中国』と『その中国とは中華民国』」までです(そして、それくらいは言わないと帰国後苦しい立場に置かれる)。これについて、ホンネの所で「一つの中国を言ってくれるのであれば、不愉快だけど黙認」なのか、「絶対に受け入れられない」なのかを私は注視していました。後者であれば、中台関係は没交渉に近くなります。

今回、中国共産党政治局委員クラスは馬英九元総統に会いましたが、常務委員(最高指導層)は出て来ませんでした。王滬寧・政協主席との会談が予定されているとの噂はありましたが、ついぞありませんでした。「中華民国」を表に出した馬英九元総統に不満だったのか、単に元総統なので常務委員が出ていくまでもないとの判断だったのか、見方は分かれるでしょう。

かつての、外務省条約課補佐時代、(正確な表現ではありませんが)「日本は『一つの中国』にはコミットしているが、その中国がどのような中国なのかについてはコミットしていない」という事を教え込まれました。私自身はその路線をきちんと順守していますが、この件は「中台有事のレッドラインは何処か」と直結するのでいつも気にしています。