少年に語る(松岡洋右講演録)
消された政治家 松岡洋右
松岡洋右氏は、大東亜戦争(第二次世界大戦)前に外交官を経て満州鉄道総裁、外務大臣を歴任し、国際連盟脱退、日独伊三国同盟の締結、ソ連との不戦条約締結に大きな役割を果たした。戦後行われた東京裁判ではA級戦犯の容疑者とされたが判決前に病死している。本書は、戦前の満州大連において、千名を超える小学生に対して行われた講演の記録である。戦後GHQの日本占領統治は七年以上に及んだ。その際焚書と呼ばれる七千冊を超える図書の没収廃棄が行われた。新たな発行図書、テレビ・ラジオによる放送も検閲を受け、一般の国民に対して提供される情報は徹底的にコントロールされた。これにより、我々日本人は、祖先、先人達から受け継ぐべき記憶や精神の連続性を断ち切られることになった。そしてその影響は現在に至っても解消されていない。今回復刻したこの「少年に語る」には、我々の祖先、先人達が紡いできた日本人の誇りや思いが詰め込まれている。地球上の何処にあるのかさえ意識されていなかった小国が、アジアの大国である清に勝ち、ロシアにも勝ち、第一次世界大戦では列強と肩を並べて戦い、学問でも産業においても欧米人を負かす程の高いポテンシャルを見せ続けた。これは、欧米列強の支配者層にとって大いなる脅威となった。そして彼らは日本と日本人を徹底的に研究したのである。その研究の結果に基づいて、GHQは焚書、教育によって日本人が紡いできた記憶の分断を図り、憲法による天皇の象徴化(天皇を戦犯として裁き、原爆を落とすと脅されてGHQ案を承諾した)によって日本人の精神的支柱を奪うことになる。恐怖を取り払うために、日本を改造し洗脳によって無力化しようと試みたのである。恐らくそれは成功したと思われる。そして今も、我々は目に見えにくい形で支配され洗脳が続けられている。この小学生に向けたメッセージの中には、我々日本人が持っていた優れた性質、精神が熱く語られている。先人達は、子孫である我々の幸せを願って働き、奮闘したが、戦争では多くの命が失われた。しかし、その努力や熱い思いは、我々の中に刻まれ残っているはずである。本書が、連合国により消されたわれわれの記憶を思い出し、日本人としての誇りを取り戻すきっかけになればと願うものである。
目次、一、少年に語る、二、日淸戰爭ごろの日本、三、支那分割論と團匪事變、四、臥薪嘗膽の十年、五、日露戰爭と國威の撥揚、六、世界大戰と日本、七、満洲事變と聯盟脱退後の日本、八、忠と孝、九、明治天皇樣の御恩