パワポ芸
パワポ資料は頭に入ってこない
経産省が作成したスライド、具体的には「第16回 産業構造審議会 製造産業分科会」で配布された「資料4 製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性」が話題になっているようです。
そもそも、現状・課題・政策の方向性などという抽象的な議論を先へ進めるために、141ページのパワポ資料（容量としても９MBものPDFファイル）を作るというところに、ダメな理由が現れているのではないでしょうか。
簡潔な本質論を提示してとりあえず合意形成し、後は演繹的に徹底的に実行してゆくということができないのです。現状認識についても、課題についても、まして政策の方向性などということでは、百家争鳴といえば聞こえは良いものの、簡潔な本質論ではたぶん合意ができないのでしょうが、これでは具体性も、小さい実践も、なんも得られません。読むだけで日が暮れます。
ここには、世界観の相違、過去の成功体験の束縛の深さ、リスクが取れないという権限のなさ、英語が通用しないというコミュニケーションの問題などが横たわっていますが、そんなのは、どうでもよくて、大切なのはこんなためにならない議論の輪から出て、とりあえず掃除することでしょう。身体を動かせば、自然と頭の中も整いアイデアも湧きます。哲学者カントが毎日決まった時間に散歩するのは合理的なのです。
さて、俗に「ポンチ絵」と言われる巨大なパワポで「見える化」しないと、話が進まないのだと思います。まず、この点が絶望的にダメだということに気づかなくては先へは進めません。
こんなもん眺めていても、インスタのスライド写真やミーム動画とおんなじで作ってる人には別段、見てる方には何の役にも立たないのです。
経産省のスライドは何を訴えているのか？
そのタイトルだけを並べてみますと、
グローバル競争力強化に向けた組織・コーポレートの機能の在り方
製造DX
Hard-to-abate産業におけるGXの方向性
経済安全保障を巡る国際情勢と政策の方向性
航空・宇宙
こんなの誰もわからないです。わたしもわかりません。
一般の世論を「煙に巻く」ためか、あるいは内輪の言葉に閉じこもるためなのかわかりませんが、すでに翻訳が必要です。一つ一つ見ていくことはわたしには不可能です。これ作ったパワポ職人の経済産業省のお役人のみなさんには、まずは、パワポ作る前に本をじっくり読むことをおすすめします。
インスタよりもブログ。写真動画よりも文章。文章を読んで朗読する。書き写す。写経する。自分で書く。
わたしがこのような草ブログで記事を書くのも、そうやって頭に栄養を与えて鍛えたい、頭の中を整理したいと思っているから、です。
その点、画像動画主体のインスタグラムにはまったく興味が湧きません。動画視聴は、字幕をつけて無音で3倍速くらいにして漫画のように読む、ということで視聴しますが、得られる情報の絶望的な少なさに辟易します。しかし、インパクトと感情の持って行かれ方は尋常ではなく、これだけ人の精神と時間と集中力と興味関心エネルギーを瞬時に消費し尽くす、この映像動画の危険性というかジャンキーぶりに驚きます。まあ、劇薬というかマックのポテトフライやコーラみたいなもんですね。止まらない。
逆に文字情報のみのテキスト文章な、漢方薬みたいなものですね。即効性はもちろんありませんが、ものを読んだり書いたりする方法は、これは「見せる」ことばかりに気を遣うことにならずに良いです。この草ブログは、日記のような形で、文章が主体。人に読ませるものではないけれども、人に読まれることを前提にして、日々の出来事や自分の考える記録にとどめる。「情けは人のためならず」で、「教える、書き留めること」が記憶の定着に役立つ。「ゆうゆう」など高齢者向けの雑誌を読みますと、ほとんどが日記や人との対面の交流を薦めています。で、その通りだと思うわけです。
次に運動です。散歩は思考に役立ちます。中でも、農業とか、清掃とか、そういう結果が出る実業に紐ついたものが良いです。ただ、８時間働くと、残りの時間が足りなくなる。労働力を倍に増やして４時間労働にし、残りの４時間を事務や芸術や勉強などの知的副業に回したら、ものすごい相乗効果が出る、という仮説を持ってます。
なにごとも、「もの足りない」ぐらいで止めておけば、人の能力を最大限に発揮できるだろう。反対に「過労」は想像力を奪う。「都会の建物の中での残業」は最悪だ。パソコンを使うような仕事こそ、農作業と組み合わせるのが最善のはず。成功雨読。
経済産業省の人たちも、コンビニバイトくらいから、始めて見たら良いと思います。
写真は自分で野菜作っている人が持って来てくれたものです。パワポ制作物より、こちらの方がよほどわたしにとっては価値があるようです。
パワポ資料より文章。
写真動画視聴より、読書。
文字は最強の情報整理手段。
はじめに言葉ありき。
はじめにインスタは、ない。
以上
