儲けることは善行だ!経済社会人必須の名著で当社の研修資料「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(マックス・ウェーバー)を紹介します(2021/05/02)

Max Waber(マックス・ウェーバー)

▼今日は、当社での研修課題の紹介です。いつもは、昭和平成令和の漫画雑誌に研修素材を求めるのですが、たまには、歴史的名著もご紹介しながら、当社の研修がフロック(偶然やまぐれ、たまたまの意)ではなく物事の本質に迫るものである一端がわかると思います。経済社会における巨大な足跡を残した偉人はたくさんいますが、実際に財や富を生みだしたとか、経済的に成功したとかそういう世界よりも、その人類社会が儲けることに邁進することになったそのメカニズムというか仕組みの一つを解き明かした人を紹介します。

▼例の検索大手、誰でも知っているGoogleが選ぶ20世紀の名著100選というものがありまして、これは、学術論文や学術書の被引用数を表示することができるGoogleの仕組みを用いて、20世紀(1901年~2000年)に出版された社会科学系の学術書の中で、どの本が多く引用されているかを100位まで調べたというものです。これは、2007年時点の調査ということで、今の2021年にこれを引用するのは少し時間が経っているものではありますが、あの誰もが知っているGoogle(しつこい)が公式として出しているものではないながらも、Googleの本業としての事実上の検索結果が語るものと言えます(であるからして、最近爆発的に売れているトマ・ピケティ「21世紀の資本」といった本は入っていません)。

▼さすが引用数上位の文献ということで、本はタイトルだけで読んでしまっている感じのあるいまいち読者の筆者もタイトルだけ知っているものが多いのですが、引用されたということは、それだけその著書の言っていることが多くの人達の賛同を得たということ、言い換えればそれまでの世界に新たな知見を与えたものと言えましょう。そこに燦然と輝く一つの書物があります。

▼「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」と日本語に訳されたこの書の著者は、マックス・ウェーバーという人でして、もちろんこのランキングに入っておりますが、かつて高校時代に通った予備校の人気講師(世界史)が、個人的に20世紀最高の名著と思うのは、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」だと宣言したので早速買って読んでみたわけです。その後何回か読み返す機会がありました。なかなか同じ本を時を経て何度も読み返すことはないのですが、これはいわゆる、噛めば噛むほど味の出る、するめのような味わいがするので、人生のいかなる段階においても読むのがおすすめです。

▼この本の言いたいことを当社的に端的に申し上げると、善行を積めば救われるという古来からのカトリック的考え方はいうなればおこがましく神への冒涜であり、そもそも個人個人の人間が、救われるか救われないかなんていうものは神によって既に決まっているという予定説を生み出した新教(プロテスタント)の信者達の精神的葛藤の上に発明された、「救われるべき者ならば善行を行うはずだ」という因果逆転の発想がベースにあります(プロテスタンティズムの倫理)。そして経済活動を行うにあたっては、最初から利潤の追求を目的としていたわけではなく、禁欲をもって天職に勤勉に励み、その「結果として」利潤を得るのであれば、その利潤というものは、安くて良質な商品やサービスを人々に提供したという「宗教的愛」の実践の結果と見做せ、すなわち神の御心に適っている証といえ、予定説における「救済」を逆に確信させるものであると解釈されることになったのです(資本主義の精神)。このように禁欲的に信ずるところに従って目の前の、生活するための経済活動を文字通り天職として行った結果、旧教国である南欧諸国より、イギリスやオランダといった新教国の方が経済活動に秀でる結果となりました。Callingという、神から呼ばれることが転じて職業という意味を持つようになったのもこのころからだということです。

▼予定説を論じだすと、到底こんな草ブログでの紙面では足りませんので、そこは専門誌や宗教家におまかせすることにして(筆者はプロテスタントどころかキリスト者でもありません)、とにかく、この本は、儲けるのは悪、と考える従来型宗教的発想を人々が勝手に逆転させていることを解き明かした、物凄い教本(人間研究のための研修素材)なのです。

▼儲けることは善なのです。の逆転の発想により、近代資本主義の実践が爆発的に行われるようになったということです。現在の社会で当たり前となっているようにみえる働き方も、宗教的背景が色濃く残っている極めて地理的なものであるということです。キリスト者ではありませんが、カトリック教国に習ったか、会議中すぐにシエスタ(午睡:スペイン語)をしてしまいそうな筆者ですが以上です。この本は当社にいくつかありますので、ご希望の方には差し上げます。

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