北海道夕張市に見る明日の日本の姿

滅ぶのはお前です

日本の離島や限界集落の将来に深い憂慮を持っています。これは、日本全国津々浦々で起こっていることであり、現在人口増加で調子こいてる一部の地方自治体(福岡県福岡市や、福岡県福津市など)も早晩そうなる、という意味で全国民は刮目して見てほしいです。

北海道夕張市。15年前の2006年6月20日に、353億円もの累積赤字を抱えた財政破綻状態であると表明し、破綻自治体の汚名を着ることになって、15年が過ぎました。2021年7月現在、全国唯一の財政再生団体として、現在も毎年26億円を国に返済し続け、そのために高額な水道料金や公共施設の閉鎖など市民に負担を強いる形となっていますが、そもそも身の丈に合っていない放漫財政を続けたツケを払っているだけなので、別段同情する気もありません。

ちなみに、完済予定の26年度末まであと5年。財政再生団体から脱却した後、この地方公共団体がどのように行きていくのか、そして日本の他の地方自治体はどうすべきか、人口減少社会でそれを示すことがほとんど無理であろうと思います。

夕張市では、新型コロナウイルス感染の影響に加え、昨年12月には市内でホテルやスキー場を運営していた夕張リゾートも破綻し、客足や店の売上は大きく落ち込んでいるます。そして、人口は、財政破綻年の1万3千人から7248人まで減りました。実に半分近くに落ち込んだわけです。

当然、大きくのしかかる借金負担は市民にのしかかることになります。水道料金も高く、長寿の祝い金や小中学生の芸術文化観賞経費など56事業は廃止。破綻前は独立した施設だった市民会館や図書館は昨年3月に完成した拠点複合施設「りすた」内に小規模化、市立美術館も廃止です。自治体の将来に不安を抱いた住民の流出は止まらず、破綻時に1万3千人だった人口は今年5月末時点で7248人まで減ったわけです。

しかしながら、それは当然のことであり、たかだか数千人の、それも高齢者ばかりの地方自治体に市立美術館は大きな負担でしょう。多額の負債を返済するために市民に負担をお願いする、と夕張市の市職員も言うように、とにかく26億円の毎年の借金返済のためには、空前のリストラを行うしかないわけです。

しかし、借金を完済したところで、さらに苦難は続く見通しです。

夕張市は国から26年度までの10年間で約12億円の特別交付税を受けているが、完済後は交付されなくなります。また、「りすた」建設には企業版ふるさと納税4億2500万円を充てたものの、残りの事業費約8億円の返済も始まります。またクラウドファンディングといった資金調達手段を考えなくてはならなくなるでしょう。そして、人件費です。財政破綻後に市職員が大幅給与減に耐えられず大量退職したため、足らない公務員は、北海道や国から職員の派遣を受けており、その人数は現在12人。派遣職員の給与は派遣元が手弁当で負担しているが、借金完済後はその分の年1億円以上を夕張市自らが負担しなければなりません。

人件費はタダ、というわけではないので、この点、思い切って民間委託して、民間の売上と雇用にすべきだと考えます。市役所は極限まで縮小し、子作りと子育てだけやるようにしないと、間に合わないでしょう。

借金返済中の現在は市長の月給を条例上の額から50%減らすなど、市職員約160人の給与や期末手当を削減していますが、借金返済後にこれを戻すと単にコスト増になるだけなので、市職員の数をもっと減らして、本当に働く職員には堂々と報酬を支払うようにするしかなくなるでしょう。破綻から民間企業が救われるにはこれしかないので、これを自治体に応用するだけなのですが、どうもこうした不都合な事実は市職員には受け入れられないようです。

市役所本庁舎は1978年建築と老朽化が進み、現行の耐震基準を満たしていないらしいです。このさい、市庁舎は廃止し民間に開放。市役所員は全員テレワークに移行してインターネット上で業務を行うことでいかがでしょうか。

こちらからは以上です。