YouTuber「半分削減」
ユーチューバーにあこがれる今の子供が大人になったとき、YouTube自体があるかどうかわからなくなってきました。
300組いる専属ユーチューバーを半減させると発表したUUUMによる、成長に向けて大胆な「方針転換」を行うという言葉はにわかには信じられません。
成長というより転身、撤退、敗退でしょう。
2021年12月16日、大手ユーチューバー事務所のUUUMが発表した内容に業界がざわつきました。
同社は2022年春をメドに、専属契約している約300組のクリエーター(ユーチューバー)のうち、約半数の契約形態を専属契約から「ネットワーク契約」に切り替えるというのですが、これは、正社員を切って業務委託社員(派遣社員より不安定)に切り替える、要するに業者さんになってくださいね、ノンテンダーというところでしょう。
だいたい、YouTubeなんて、既存の地上波放送局の劣化版であり、それを食い尽くした以上の成長など見込めないものと思っています。
「YouTubeに食われる放送局」ですが、意外にも高齢者の支持は強く、ネットフリックスやグーグル、はてはアマゾンまでも、安くなったテレビCMで顧客層(養分)の開拓に余念がないという状況です。
筆者も、もうYouTubeは無料体験期間が終わってしまったので、広告まみれの三流動画など見る気もなく、きっぱりYouTube読者を卒業してしまいました。
さて、UUUMのネットワーク契約とは、コンテンツ制作・管理に役立つUUUM提供のプラットフォーム「CREAS」(月額500円)などを利用できる契約形態のようです。
マネージャーのような担当者はつかず、「所属」というより、「サービス利用者」といった色合いが濃く、つまり丸投げです。
同社は専属クリエーターの対象を「ビジネスを共創できるポテンシャルの大きいクリエーター」と再定義し、要するに正社員のハードルを高くして、今後は専属のクリエーター数を追うのではなく、厳選したクリエーターのビジネス面の支援を充実させ、収益の拡大を目指す体制に移行するという、リストラを行うわけです。
UUUMは専属契約しているクリエーターの動画広告収入の一部を手数料として受け取っているが、ネットワーク契約に関してはその手数料がかかりません。
専属でなくなれば受けられるサポートは減るが、稼ぎに対するクリエーター側の取り分が多くなるという面は確かにありますが、そもそも稼ぐユーチューバーを専属契約で残しているから、あとは出涸らしです。
UUUMは今回、大胆な方針転換に打ち出した背景には同社の売上高の58%を占める、ユーチューブ上での動画再生に紐づく「アドセンス広告」収入の拡大に頭打ち感が出ているなどの課題があります。
2021年5月期(以下、2020年度)、同社の所属チャンネル数は四半期ごとに増加した一方で、動画再生回数はほぼ横ばいです。
1チャンネルあたりでは再生回数が減少しています。
これに伴い、アドセンス広告収入も伸び悩む状態が続いていて、競合ユーチューバー事務所の幹部には「UUUMの再生回数の半分以上は、上位20人の専属ユーチューバーによるもの」と言われる始末です。
数年前までは毎日のように動画を更新していた上位層ユーチューバーの中には、ユーチューブ外への活動の広がりとともに更新頻度を徐々に落とす人も増えています。
そうしたマイナスを、新たに加入したユーチューバーたちでは補えていない、というより、もはや熱狂的な視聴者や四六時中YouTube漬けになっている養分視聴者をもはや開拓できなくなってきているのでしょう。
筆者も、ヒカキンさんをYouTubeで一度見てみたかったですが、それも果たせず終わりそうです。
以上