残酷な真実

美しく残酷なお話

言われなければならない人生の残酷な真実をお話しましょう。こんな話をわりと小さい頃から聞かされてきました。父母、祖父母に大いに感謝しています。さて、それは一体何でしょうか？俳優アンソニー・ホプキンスの言葉を借りながら、書いてみます。

あなたを愛することができない人々は遠ざけてください。これはあなたが人生でしなければならない最も難しいことであると同時に、最も大切なことでもあります。
変わりたくない人と難しい会話をするのはやめましょう。あなたの存在に興味のない人々の前に現れるのをやめてください。
周囲の人から感謝されるために全力を尽くしたいというあなたの本能と善性は痛いほどよくわかりますが、それはあなたの時間、エネルギー、精神的、肉体的な健康を奪う衝動で不快な結果を招きます。
自分を大切になさいなさい。あなたが喜び、興味、献身を持って自分の人生のために挑戦を始めたとき、誰もがその場所まであなたについていく準備ができているわけではありません。あなたが自分自身を変える必要があるという意味ではなく、あなたと一緒にいる準備ができていない人々を手放さなければならないことを意味します。
一緒のバスには乗れないのです。あなたが自分の時間を割いている人々から排除されたり、侮辱されたり、忘れられたり、無視されたりする場合、あなたは彼らに自分のエネルギーと人生を提供し続けることが、自分自身に利益をもたらしているとは決して言えません。
バスに一緒に乗る人をまず決めて、そして走りながら具体的に何をやるのか考えたほうが良い、と、筆者が社会人になってでかい銀行の営業本部の端っこにすわったとき、朝7時に入ってきた部長がこれ読めと薦めてくれた「ビジョナリー・カンパニー」という本にも書いてありました。

得意の脱線ですが、「誰をバスに乗せるのか」このフレーズを聞いてピンとくる方は企業経営に興味があり、世界中でベストセラーとなったジム・コリンズ氏の「ビジョナリー・カンパニー」を読まれた方ではないでしょうか。本の中では人材採用を「バスに乗せる」と表現し、「誰をバスに乗せるのか」こそが組織の命運を決めると主張しています。筆者が仕事とか人生とかにおいて話し始めるときにいつも扱う例え話（企業事例）の中ではいつもいつも、人間関係とか採用や人材の重要性について繰り返します。人材採用は企業の成長を左右すると言っても過言ではありません。それほど企業は採用に費用と時間と手間と人的リソースをかけ、慎重に行うのです。多くの企業経営者が参考にしたこのフレーズですが、本には以下の内容が記載されています。
「偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、次に旅を共にする人々を乗せる方法を取ったのではない。まずはじめに適切な人をバスに乗せ、不適切な人を降ろし、その後にどこに向かうを決めている。」
多くの会社では目標や戦略、ビジネスモデルなどを最初に決め、それにフィットする人材を採用しようとします。しかし、ビジョナリー・カンパニーの著者である、あらゆる企業体を研究し尽くした事業経営観察オタクのジム・コリンズ氏はまず最初に適切な人を採用し、その後に目標や戦略、ビジネスモデルを決めるのが絶対良いと繰り返し繰り返し、口から唾を飛ばしながら延々と主張するわけです。様々な手法が存在する企業経営。経営者は自社の状況を鑑みながら様々な手法の中で最適解を導いていかねばなりません。そのような不確定要素が多い社会でよりベターな答えを選択することができる人材となるためには、こんなブログ記事で良いから、多様な事例や歴史や事案に触れて知識を蓄え、ビジネスにおける意思決定能力の向上を目指したほうがはるかに良いです。

で、残酷な真実に戻ります。残念ながら、実のところ、あなたは誰にとっても良いわけではないし、誰もがあなたにとって良いわけではありません。誰にも求められる存在になるのは結構至難の業です。さらに、そのために訓練するにはちょっと人生は短すぎます。これが、友情や愛情が一致する人を、たまたま見つけることが非常に特別な体験になる理由です。そうでないうまく行かない人間関係を経験したからこそ、それがどれほど貴重なものであるかがわかるでしょう。でも、この地球上には何十億もの人々がおり、その多くに、あなたの興味や関心のレベルに合った人もそれなりにいて、つまり一生懸命人生やっていたら、きっと必ずそういう気の合う友人なりは「たまたま」見つかるものなのです。そういうもんです。世の中は結構平等にできています。どんな人にも等しくチャンスはやってくるように、神様か誰かがそのように差配しています。

一方で、もしかしたら、あなたが自分のためではなく他人のために動くのをやめてしまったら、姿を現さなくなったら、あなたを捜さなくなる人も出てくるでしょう。もしかしたら、あなたが努力をやめたら、そのうまくいっていたと思っていた関係はさっくり終わってしまうかもしれません。おそらく、テキストメッセージの送信をやめると、携帯電話やスマホは数週間暗いままになるでしょう。で、それでいいわけです。それはあなたが人間関係一般を台無しにしたという意味ではなく、それを維持していた唯一のものは、それを維持するためにあなただけが与えたエネルギーだっただけ、ということです。相手にとってはどうでも良かった片務的な関係だったのかもしれませんね。

そういうのにこだわりつづけるのは、これは愛ではなく、執着というのでしょう。
そうではなくて、自分の貴重な時間やエネルギーを、このような自分にとって「資格のない人」に与え続けて浪費させるのではなく、あなたにはそれ以上の価値があると理解して、資格のある人にたどり着くように自らに矢印を向けて進んで下さい。あなたの人生で最も価値のあるものはあなた自身の時間とあなた自身のエネルギーです。どちらも有限です。あなたが時間とエネルギーを捧げる人や物が、あなたの存在自体を定義します。だから、エネルギーや時間を投下する対象は、人でも事象でも物事でも推し活でもフィギュアであっても、よくよく見極めて下さい。

これに気づくと、自分に合わない、近くにいるべきではない人、活動、空間と時間を過ごすときになぜ不安になるのかがわかり始めます。通常の感覚です。あなた自身とあなたの周りの人々のためにできる最も重要なことは、他の何よりも自分の時間とエネルギーを守ることであることに気づき始めるでしょう。自分の人生を、自分と「相性が合う」人が入れる安全な場所にしましょう。あなたには誰かを「救う」責任はありません。彼らに改善するよう説得するのはあなたの責任ではありません。あなたにとっての彼らのような、合わない人々のためにあなたが存在し、彼らに自分の人生を捧げることはあなたの仕事ではありません。
あなたには、あなたにとっての真の友情、真の献身、そして健康であなたにとって豊かな人々との愛を育む資格があります。自分にとって、有害な人々から距離を置いて自分のやることに集中すると決めると、あなたにとってふさわしい愛、尊敬、幸福、そして保護が与えられるのだろうと思います。

以上、美しく残酷なお話でした。自分を大切に。他人の人生を覗くのではなく、自分の人生を見据えましょう。そして、あなたにとって良き友人や家族とともに自分の人生を歩むのです。

おしまい