トンボかけをする野球監督

テレビや大手マスコミはほとんど話題にしないから、ここで書いておきますが、日本ハムの新庄監督(49)が8日、沖縄・国頭の秋季キャンプを初視察した際、野手がグラウンドでノックを受けた後は自らを含めたコーチ陣でトンボがけをしたことです。

選手にあえてさせなかったのは、守備を終わって、次の種目(練習メニュー)にいくまでに早く休憩させたいからという至極真っ当な理由です。

選手は、強くなってほしいという期待を感じ、次のプレーや練習をまた集中力を持ってできるはずです。

選手がノックを受けた後は選手にはグラウンド整備をさせないでくれと要望したようです。

監督やGMコーチ含めたスタッフがやればいいという感覚です。

むしろ、監督以下が心を込めてイレギュラーしないように、プレーにしてあげるためにやっただけといわれて意気に感じない選手はいないでしょう。

これを見て、かつて学生チームながら社会人も破り真の日本一に輝いた京都大学アメリカンフットボール、ギャングスターズのことを思い出しました。

京都大学農学部グラウンドを根城にもつ彼らは、上回生のレギュラー組ほど、グラウンド整備や備品の手入れ、練習メニューの作成、食事の用意といった裏方の仕事を率先してやるのです。

受験をくぐってきた新入生には、負荷とプレッシャーのかからない練習からはじめ、授業や下宿の世話もしながら、丁寧に接します。

雑用は、上回生の仕事。これが徹底されているのです。

そして、雑用という仕事はない、どんな小さな作業でもそれら全てが理想の強いチームをつくることに繋がっているという高い意識が作られていきます。

雑用が、戦略に変わるのです。

こうなるともう、手がつけられません。

新庄監督は、これはもう普通のことです、と現役時代の恩師から学んだ指導者である阪神タイガースの島野育夫コーチという人の話をしていました。

このコーチは選手にグラウンド整備をさせず、グラウンドキーパーの方たちにさせるんでもなくて、選手が来る前に俺たちがやるんだ、とのことです。

そのような恩師の話をさらっと出して、選手に自主性とひたすら明確な結果を求めるマネジメント、企業経営にも子育てにも学園祭にも何でも応用できると思います。

グラウンド整備をほとんどやったことがない。その姿で、島野さんが言うことは間違いないという風に変わっていった。

筆者も、同世代の新庄監督を見習って、事業や勉強そのものを教えるのではなく、その基本にある生き方を示すように振る舞いたいと思います。

以上