邪馬台国宮崎説

筆者としては、現時点(2021/11/10)において、邪馬台国比定地を宮崎県西都市近辺に置いています。

そもそも、日本国家発祥の地は「日向国」であり、日向とかヒムカの国といった言い方で、宮崎県は日本における重要な歴史書である古事記や日本書紀において、公式に日本国発祥の地として記載されています。

そうして、親魏倭王という天皇以前の日本国の最高権威であった称号を得た女王卑弥呼との関係をつなげたほうが、当然に奈良時代以降の政権にとって都合が良かったはずです。

そういうことから、邪馬台国については、九州説でありかつ日本最大級の古墳群である西都原古墳群を比定するわけです。

古事記・日本書紀を見れば、なんの脈略もなく「日向国」が政治的意図の強い公式歴史書に登場することは考えにくく、古代日本において、この地に権威ある都市国家があった可能性は極めて高いです。

問題は、この高度に発達した権威ある都市国家であったことは間違いない西都原古墳群の地域が、邪馬台国であったかどうかというところなのですが、魏志倭人伝の記述とどうみても一致するのです。

西都市までの行程としては、以下の通りである。

不弥国(福岡市東部・宇美町周辺)以降は、御笠川を登って南下する。
その後、筑後川水系の宝満川に移ってさらに南下、有明海に出る。
3〜4世紀当時は、現在よりも海水面が4〜5mほど高く、佐賀県のほとんどは海に浸かっていたとされる。

その当時の様子については、「Flood map」というウェブサイトを使えば、その「海抜+4m」をシミュレーションできる。
「Flood map」http://flood.firetree.net

Flood mapによりシミュレーションした地図を用いて、水行20日の行程を示すと、ドンピシャで、九州の南部へ進むためには、九州の東西の海岸線を進むよりも、福岡市から川を登った方が効率的であることがわかります。

およそ20日ほどかかると予想される場所にある「5万戸」の大都市・投馬国が納まる土地としては、熊本平野であろう、つまり、熊本に投馬国があったと比定します。

投馬国から、さらに南下すること10日ほどの場所としては、鹿児島の水俣市から出水市付近と考えられる。

ここから陸行1ヶ月により九州を横断し、宮崎県西都市周辺の邪馬台国に着く、というわけです。

ちなみに、魏志倭人伝には、倭の地について尋ねたところ、大海中の孤立した島嶼の上にあって、国々が離れたり連なったりしながら分布し、周囲を巡れば5000余里ほどである、とありますので、この中国の使節団は「訪問先である倭人(主に女王に関係する人々)の住んでいる土地」を、基本的には「九州」だと考えているとみるのが自然です。

日本列島全体についての記述ではないと見ています。

だから、東の海を1000里渡ると別の倭種(同じ日本人)がいるという記述になっています。

日本人だけど、別の国がある、という言い方です。

これは、九州を出て、さらに海を渡って東進すると、倭の女王(卑弥呼)が統治していない他の倭人の国々があるというニュアンスなので、「女王国の以北の国々(出雲とか四国とか)」と「その南にある狗奴国(鹿児島とか)」ということになり、これまで筆者が考えていた邪馬台国(女王国)が北部九州に限定されるという考えよりはるかに女王国の版図が大きくなります。

投馬国どこにあるの問題も一気に解決しそうです。

ということで、今後は、邪馬台国北部九州説を改め、邪馬台国(女王国)九州説(鹿児島の薩摩大隅を除く)で行こうと思います。

基本的に「女王国」は「九州」であるが、その権威が行き渡っている地域を、魏志倭人伝では以下のように記述しています。

女王国の以北は、其の戸数・道里を略載することが可能だが、其の他の傍国は遠く絶(へだ)たっていて、詳(つまびらか)に得ることができない。斯馬国、己百支国、伊邪国、都支国、彌奴国、 好古都国、不呼国、姐奴国、對蘇国、蘇奴国、 呼邑国、華奴蘇奴国、鬼国、爲吾国、鬼奴国、 邪馬国、躬臣国、巴利国、支惟国、烏奴国、奴国。此れが女王の境界が尽きる所である。
其の南には狗奴国がある。男子を王と為し、其の官に狗古智卑狗(くこちひく)が有る。女王に属せず。

そして、それに続く記述、
「その南に狗奴国がある」
ということで、邪馬台国(女王国)は、今の北九州市から福岡市、北部九州、大分、熊本、そして宮崎平野を領する広大な領地を保有した連合王国だったと推定します。

また、女王国から東に海を1000里渡った先に、狗奴国がある、つまり、魏志倭人伝を読んだ中国人は、狗奴国を「女王国」の東の海を渡った先にある国と捉えているので、狗奴国の領土は鹿児島県にとどまらず、四国や本州の瀬戸内地域にわたる広大な領土を保有していたのではないか、とこれは想像の範囲になります。

以上