おはようございます。
2018年4月の世界的企業買収に関する配信記事です。
米国発の配車サービス世界大手のUberの世界展開にさらに大きな変化が起こっています。
Uberが、その直営事業としての展開を、ロシアおよび中国ではすでに諦めて一旦撤退していますが、このたび、東南アジアの事業についても撤退を決めたとのことです。
Uberは米国時間2018年3月26日、東南アジアの事業を、同地域で競合するGrabに売却することで合意したと発表したのです。
その声明によると、Grabはカンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムという広い地域で展開されているUberの全事業を引き継ぐことになります。
これには配車サービス、食料品宅配(Uber eats)、決済、附帯する金融サービスなどが含まれます。
しかしながら、Uberはこの撤退によって全てを失うのではありません。
逆に言い換えれば、名を捨ててしっかりと実を取ったとも言えるのです。
なぜなら、Uberはこの巨大な事業売却に伴い、対価としてGrab自身の株式の27.5%を取得し、大株主としてUberの最高経営責任者(CEO)であるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏がGrabの取締役会に役員として加わることになるからです。
UberとGrab、双方の大株主である日本のソフトバンクグループが黒子役を演じたとも言われています。
Grab側の最高経営者であるAnthony Tan(アンソニー・タン)氏は、声明を出しました。
「統合後の事業は、プラットフォームとコスト効率の面で同地域を主導するものになる。Uberと統合することで、顧客が求める以上のサービスを提供するというわれわれの約束を果たす上で、さらに適切な体制が整うことになる」
「この買収は新しい時代の幕開けだ」
一方、名を捨てて実を取った形のUberの最高経営責任者のDara Khosrowshahi氏もインタビューに答えました。
「この事業売却はこれまで5年間の同地域全域にわたるUberの成長の「証」」
「われわれは、地球上における顧客体験を創造するための自社製品と技術に力を入れ、成長に向けた計画を強化することができる」
Uberとしては、Grabの株式の多くを取得したと強弁したいところですが、どうも勢いとしては、どちらが買収してどちらが買収されたのかよくわからないように見えるのは筆者の東南アジア側への贔屓目でしょうか。
シンガポールでは現地運転手に見間違われ、フィリピンのセブ島では海の素潜りがうまいと「彼はどこのポリネシアンか」とお褒めの言葉をいただいた、おそらく遠いご先祖は東南アジアに縁があるのかと思われる筆者からは以上です。
(平成30年4月2日 月曜日)