(2019/07/22)(参議院議員選挙2019結果)山本太郎率いるれいわ新選組が比例区で2議席を獲得しALSと重度障害の2議員を国会に送ることになったという話です
おはようございます。
2019年7月の第25回参議院議員選挙の結果とトピックを、選挙マニアの筆者からお送りしようとする雑談記事です。
2019年4月1日、令和という年号が発表された当日に旗揚げした、「れいわ新選組」(新「撰」組ではない)という、「前」参議院議員の山本太郎氏が立ち上げた政党が、今回の参議院議員選挙(2019年7月21日(日)投開票)で、全国比例区で2議席を獲得しました。
れいわ新選組、という政党名での得票が120万票山本太郎という候補者個人名での得票が97万票その他の8人の候補者個人名での得票が7万票
合計224万票
中卒、高校中退コメディアン、俳優、芸能人、そして2011年の東日本大震災において政治の道に入り、そして2013年7月の参議院議員選挙に東京都選挙区から出馬し、泡沫候補として始まりながら66万票もの得票を得て当選、6年間参議院議員を務めてきた44歳の山本太郎個人より、立ち上げてたった3ヶ月弱の泡沫政党「れいわ新選組」という政党名を書いた有権者が、なんと120万人もいたということなのです。
なぜ、このようなムーブメントが起こったのか、それは山本太郎氏(と周囲の仲間たち)が周到に編み上げた選挙戦略の賜物だったのではないかと思っています。
今回の参議院議員選挙から採用された「特定枠制度」、これは政党名、個人名かかわらずその党の候補者の誰から国会に送るかという「順番」をあらかじめ決めておくことができるという、拘束名簿方式を少し残した制度ですが、
この特定枠の1人目に
・ALS(筋萎縮性側索硬化症)を働き盛りの40代で発症された舩後靖彦氏(61歳)という現在は身体はわずかしか動かせませんが、それでも、精神活動は活発に会社の副社長もやられている男性
そして2人目には
・生後8か月で歩行器ごと玄関から落ち、脳性まひなどの障害を患い、現在は首から上と右腕が少ししか動かない女性の重度障害の木村英子さん(54歳)
を充てたのです。
そうして、今回の参議院議員選挙の2枚目、全国比例区の投票用紙の欄に、政党名「れいわ新選組」もしくは同党から比例区で立候補した山本太郎他の候補者個人名を書いた結果、
・100万票で1人目の特定枠であるALSの舩後さん
・200万票で2人目の特定枠である重度障害の木村さん
が先に参議院議員になった、というわけです。
残念ながら、
・300万票でその他の候補者の中で最も個人得票が多かった山本太郎氏
は議席に届かず、個人で97万票を獲得しながら落選した、というわけです。
しかしながら、この結果は、筆者のような選挙マニアには、またとない面白い「事例」を提供してくれました。
自らが信じる政党を作る、そして代表になって票を集めるけれども、実際に国会に送り込むのはその信ずる政党の政策ややりたいことを「体現」する別の候補者でいいではないか、という「事例」です。
会社法で論じられる、所有と経営の分離みたいなもんでしょうか。
この点、他の政党での全国比例候補で当選している面々をみてみますと、障害者、というようなカテゴリと同様に、今回争われた比例代表50議席の内訳を組織内候補という観点でみてみますと、以下の通りです。
組織内候補、ということであえて個人名は意図的に伏せました。
(自由民主党:獲得議席19)
・全国郵便局長会会長(郵便業界)
・元防衛相幹部(自衛隊業界)
・全国商工会青年部連合会会長(JC、青年会議所)
・日本薬剤師連盟副会長(薬剤師業界)
・元日本医師会副会長(医師会)
・その他、合区により特定枠に回った山陰地方、四国地方の現職参議院議員(もともとの合区構想はこうしたバーターから生まれています)
(立憲民主党:獲得議席8)
・日本教職員組合教育政策室長(日教組)
・JP労組中央副執行委員長(郵便業界)
・元情報労連特別中央執行委員(情報通信業界労組)
・私鉄総連交通対策局長(私鉄業界労組)
(国民民主党:獲得議席3)
・元イオン労組中央執行委員、UAゼンセン政策グループ政治局員(小売業界労組)
・元自動車総連特別中央執行委員(自動車業界労組)
・元電力総連会長代理(電力業界労組)
(公明党:獲得議席7)
・創価学会執行部の意向を受けた7名の当選者のみなさん
(日本共産党:獲得議席4)
・共産党員で比較的個人得票が多かった3名の活動家のみなさん
(日本維新の会:獲得議席5)
・さまざまなバックグラウンドから集った5名の同党公認のみなさん
(社会民主党:獲得議席1)
・元党首
(そして、れいわ新選組:獲得議席2)
・ALSの舩後さん(男性、特定枠1位)
・重度障害の木村さん(女性、特定枠2位)
(最後に、NHKから国民を守る党:獲得議席1)
・党代表
つまり、他の政党も、国民全体には耳に心地よいことを言いながら、その実は、自分たちの「スポンサー」であるところの、郵便業界とか各業態ごとの労働組合とか、日本教職員組合といった、「票をくれる」ところに忖度した候補を立てて、そうして自分たちの組織内候補として一定の勢力を国会に送り込む、ということをしっかりやっているわけです。
例えば、この中で有名である日本教職員組合という事例をあげてみますと、日教組の組合員総数は約25万人、組織率は約25%となっております。
つまり、この教職員組合業界には、だいたい100万人の大人(有権者)がいるというわけです。
そして一方、日本の障害者の総数は、直近の厚生労働省の推計によりますと、それをはるかに上回る936万人(身体障害者は約436万人、知的障害者が約108万人、精神障害者が約392万人の合計)にも上っているのです。
それなのに、この人口の13分の1にものぼる障害者(という業界)の代表は、国会議員700人超の中に、(公式には)ただ1人もおりませんでした。
ここに、風穴が空いたわけです。
筆者は、組織内候補が一律に悪いといっているわけではありません。
選挙によって国会に代表を送り込む、そのような「健全な」活動としての一つの結果です。
しかし、今回の「れいわ新選組」が秀逸だったのは、別に障害者だからといって人と差別した特別待遇を求めたというわけではなく、単にその業界の当事者だから国民代表にふさわしい、としただけであったということです。
これが、国民全体の代表であるべきという、国会の実態なのです。
人を「働き」や「役に立つか否か」で選別するような世の中、勝ち組負け組だの分ける世の中だと、それはもう生きにくい世の中でありまして、できれば生きててよかった面白い、と思える世の中を政治で作ろうという理念が、山本太郎個人の支持を超えたこのできたばかりの政党「れいわ新選組」に集まった原因なのでしょう。
人はなんらかの業界や団体に所属しているものですが、このように、理念と一直線に通じる、中間搾取や中二階といった余計な組織のない、こうした直接に、ダイレクトに政治に繋がっているなという感覚が、これからの時代非常に重要になってくるのではないかと考えております。
投票日当日を襲った九州地方、西日本地方の豪雨被害の影響もあり、投票率も上がらず、なんだか大手マスコミの囃し立てる「改憲勢力」「非改憲勢力」などという分類に正直辟易していましたが、いち市井(しせい)の選挙マニアとしては、最後に面白い結果を見せてもらい一定の満足はありました。
今回落選した山本太郎氏、確かに無役とはなりましたが、むしろ国会外での自由な活動機会を持った方が輝くかもしれず、さらに政党要件を満たしたれいわ新選組の代表として、次の衆院選を見据えれば、衆院(比例ブロックとの重複立候補可能)への「鞍替え」のチャンスが来たともいえ、面白いことは続くようです。
東京都の、その衆議院選挙区が、一番攻めやすいのか?
該当する現衆議院議員たちにとっては、まことに胃の痛い話でもありましょう。
れいわ新選組、という政党が続くかどうかは、主権者たる国民が、この政党への直接のスポンサード(要するに会費制(サブスクリプション)の寄付など)を続けるかどうかにかかっています。
特定の職業や業界、所属団体や地縁血縁といった「既存の」業界のスポンサードとは違った、直接民衆と政党が繋がる、面白い時代の幕開けなのかもしれません。
筆者は、実の母親をリウマチ1級障害者として持っております、そんな家庭環境にあり、かつ山本太郎氏とは(年齢学年的に)同級生にあたります。
同年代で有名なのは
・イチロー(1コ上)
・松井秀喜(同学年)
・室伏広治(同学年)
・ホリエモン(2コ上)
というところでしたが、ここから山本太郎氏が一気にくるかもしれません。
筆者は国会議員政策担当秘書という公設秘書になれる資格を保有しています。
衆参両議院の国会議員のみなさん、かようなブレーンであればいつでもご相談に応じますので、お声掛けください。
そんな政治マニアの筆者からの観測記事は以上です。
(追記)
NHKから国民を守る党、についてはまだ勉強中なので後日見解をアップしようと考えてます。
(2019年7月22日 月曜日)
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