西友をトライアルが買収

【トライアルがSEIYUを約3,800億円で買収した件について】

本件について色々なニュースや、福岡県民で言うとサニーがトライアルに買収された?サニーがダメみたいな投稿が散見されているので、私なりに解説してみます。

まず前提、両社にとって、とても素晴らしいM&Aなのではないかと思います。

まず、SEIYUに関してですが

2008年に米国ウォルマートの完全子会社になります。

ウォルマートは「Every Day Low Price」をスローガンに掲げる世界一の小売企業ですので、私は何度もベンチマークに行っていました。

よって、サニーも一気に安くなるのかな?と思っておりましたが、そうでもなかったな?というのが私の印象でした。

その後、ウォルマートは2021年にKKRというファンドに(←KKRホテルとは関係ない)65%、楽天に20%の株式を売却し、持ち株比率は15%に

更にKKRは2023年に楽天の20%分も買い取り、持ち株比率85%へ
(私の推測ですが、楽天はモバイルへの投資で資金が必要だったので売った)

結果として、直近はKKRが85%、ウォルマートが15%で、この全てをトライアルが約3,800億円で買ったという形になっています。

一方業績で言うと

【トライアル】
売上7,179億 営業利益191億

【SEIYU】
売上4,835億 営業利益235億

売上規模こそトライアルの方が大きいですが、営業利益率、営業利益額共にSEIYUの方が上です。

前回の資さんうどん&スカイラークの時も感じたのですが、M&Aの話が出ると世間では買われた方が弱いという印象になりますが、決してそんな事はない。

じゃあ、トライアルは何故3,800億円も出してSEIYUを買ったのか?

私は大きく下記の3つかなと推測します。

1、TRIAL GOの出店加速

TRIAL GOの特徴は
・無人なので低価格
・お惣菜は現地調理ではなく、配送
(通常このパターンだと鮮度が落ちで美味しくなくなるけど、近隣の店舗からの高頻度配送の為、比較的鮮度が高い)
TRIAL GOは首都圏に向いており、SEIYUは首都圏中心に店舗があるので、九州中心のトライアルが今から首都圏に多店舗展開するより、SEIYUの店舗を利用した方が圧倒的に早い
人手不足&日本人がどんどん貧しくなって行く中、トライアルの成長戦略の主軸はここかと思っています。

2、SEIYUのDX化

トライアルの特徴はDXがかなり進んでいること
Skip Cartというシステムを使い、キャッシュレス決済は当然の事、レジに並ぶことなく会計が済んだり、レコメンド機能でプラス1品を追加購入など素晴らしいシステムを使っています。
このシステムをSEIYU全店に導入することで、SEIYUの売上、営業利益率共に大きく向上する可能性があると思います。

3、スケールメリット及び物流センターの効率化

この2社が合体する事で、売上規模は1兆円を超え国内小売6位の企業になります。

因みに

1位 セブン&アイ・ホールディングス 114,718億円
2位 イオン             95,536億円
3位 ユニクロ            31,038億円
4位 ドンキ             20,951億円
5位 ヤマダ電気           15,920億円
6位 トライアル&SEIYU       12,014億円
7位 ローソン            10,880億円

スケールメリットにより、仕入れが下がるのと物流コストも削減され、両社共に恩恵が得られます。

以上の観点から、私は両社にとってとても素晴らしいM&Aだったのではないかと思っております。

今後最も気になるのはTRIAL GOがコンビニ大手3社とどのように戦っていくのか?です。

和製ウォルマートであるトライアルの今後に注目して行きましょう!

長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。