大河石田三成

石田三成最高
第13回「三成最期」で江守徹さん演じる石田三成が最期を迎えました。ここまで見事に一個人としての三成の情熱と苦悩を熱演された江守さんにそしてこれほど感情移入され、主人公である徳川家康よりもむしろ主人公扱いとされたジェームズ三木先生には改めて敬意の念を強くした装鉄城でした。うーん、しかしその肝心の治部が退場してしまったら果たして今のテンションを維持できるか?と聞かれると非常に難しいわけで・・・。やはり創作史上もっとも秀逸な石田三成なのが『葵 徳川三代』なのです。
これは単に三成を美化して描いているとかそんな理由ではなく、きちんとジェームズ三木氏が分析して一個人としての三成の行動や苦悩をしっかり描いていたことが大きい。時には家族と過ごし、それでいて決して己の正義を信じて疑わない剛直さを持ち、時には思わずポロリと出してしまう。そして何よりも白眉だったのが家康と三成の対面シーン。
「寛容こそ勝者の特権」と鷹揚に接する家康と、敢然と正論を述べる三成。両者ともにしっかりと立場と主張をしっかり描いて、それでいてどちらも決して貶めていない。非常に公平、かつ双方に敬意を抱かせる筋書きはある意味すごいのですよ。この辺、昨今の駄作大河は
「敵キャラをただの小悪党としてしか描かず(あるいは描けず)それでいて主人公が馬鹿にしか見えない」
という真逆の構成をなしてしまっているのは本当どうかと思います。幸い今年の大河はまだそんな造形をしておらず、その意味では非常に好感が持てます。そしてこれは大事なのですが、本作の場合は単に「史実準拠」だからいいというだけでなく、なおかつ面白く非常に筋の通った筋書きをしっかり描いていました。