おはようございます。
2018年4月の国際政治に関する配信記事です。
ついに、シリアへの米国英国仏国の共同の空爆攻撃が行われた模様です。
シリアへの空爆については、2017年4月にも行われていますが、さて日本は本件に対してどのように対応するか、非常に微妙かつ双方にとって良い顔をした、有り体に言えばこうもり的な対応に終始するはずであるという予測をしますので披瀝します。
まず、前回の空爆に対する声明は、以下にあります。
【前回の声明】
https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201704/07kaiken.html
政府公式見解ですので、全文を引用いたします。
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平成29年4月7日、安倍総理は、総理大臣官邸で会見を行いました。
総理は、シリア・アラブ共和国の情勢について次のように述べました。
「シリアにおいて再び化学兵器によって何の罪もない多くの一般人が犠牲となりました。幼い子供たちもが犠牲となった惨状を目の当たりにして、国際社会は大きな衝撃を受けています。極めて非人道的であり、国連決議にも反します。
化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持いたします。その上で、今回の米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解しています。
そして、東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増しています。その中で、国際秩序の維持と同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価します。
今後、米国を始め国際社会と連携をしながら、世界の平和と安定のために日本は果たすべき役割をしっかりと果たしてまいります。」
シリアへの米英仏の空爆が行われたようです。前回(昨年4月)同様、日本は微妙な対応をするでしょう。
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さて、ここに書いてあることは非常に勇ましいのですが、ここに敢えて書いていない(言えない)部分があります。
シリアに空爆したという米国ほかの国としての行為に対して、いいとも悪いとも何も評価を加えていないのです。
あくまで、米国の一般的な「化学兵器と拡散と使用」「国際秩序と世界の平和と安全に対するトランプ大統領率いる米国の強いコミットメント」については高い評価を手放しで与えて支持しているのにすぎません。
空爆そのものを国際法上正当化するのは難しいという、平和国家日本を彷彿とさせる態度をとっている、というのは早計です。
より直接的には、シリアの背後にいるロシアに対して、どのように対応するのか日本国としてスタンスが決まっていない、もしくは曖昧であるためこの点については触れたくないのです。
ロシアからは四島を取り返したいし、そのために決定的にロシアと断絶するのは得策ではない、という意見もあれば、どうせ返す気のない四島にこだわって弱腰外交(共同投資という名の経済支援)を続けていても実ることはない、実力行使を行えといった意見までいろいろあるので、統括する外務省や外務大臣としても、首相に対して空爆そのものの評価については棚上げしておくしかない、ということなのです。
ですので、空爆そのものを支持評価できない後ろめたさから、勢い他の部分では一生懸命言葉を尽くして言辞を弄して粉飾、お化粧したコメントとなっている、このように筆者のような者には映るわけです。
さて、これを読んだ海外のメディアは、そんな日本人の国際社会に向けた「忖度」など全く普通に理解しませんので、即日米同盟にのっとって「日本が空爆を支持(Japan supports airstrikes)」と報じます。
そして、こう書いてくれるのは、実は日本の外交当局(外務省とか外務大臣とか)にとっては、むしろありがたい勘違いということもあるのです。
さて、今回はどのような声明がなされるのでしょうか。
国際社会を渡り合っていくには、いろいろと勉強する必要がありそうです。
こうした事例に多く触れていけば、日本が置かれた立場や方針に沿った、対外的な声明の発し方や読み方が深まることだと思います。
日本には、言葉に宿る霊的な力が信じられており、それは言霊(ことだま)として一般にも知られています。
聖書にもはじめに言葉ありき、と記されていることからも、何を言うのかその背景を考えることは、このテクノロジー全盛の時代においてもとても大切だと思います。
語彙がなかなか増えない筆者からは以上です。
(平成30年4月14日 土曜日)