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おはようございます。
2016年7月の天皇陛下譲位に関する記事の続きです。
先日は上皇という地位について論じましたが、今回は天皇位を受ける側について少し考えてみたいと思います。
天皇位を現在の天皇陛下から皇太子殿下に対し、双方生前に譲ることが生前譲位の考え方です。
ここで、この意思がどのように発議されるかがまず問題になります。
生前譲位が起こった場合、先日の記事で触れた、権力志向の上皇や法皇のような存在がでてきて弊害を生んだりするリスクももちろんありますが、この譲位したいというご意思が、必ずしも天皇陛下の自由意思に基づかない退位の強制である面が取りざたれたりする場合がありうるのです。
また、退位されたあとにやむなく復位する(践祚)といった場合についても法的には触れておく必要があるでしょう。
こうした重大な意思がどのように発議され、最終責任を負う国会が承認なり同意なりを起こすのか、これは憲法上非常にセンシティブかつ重大なイシューなのです。
そして、譲位なさる側のご意思も大切ですが、譲位される側のご意思も同様に重要です。
この地位をこのタイミングで受け入れるという「同意」を何らかの形で示しておき、ご意向などを内外に対し発することで、国民の総意としての天皇制度をこのように前に進めたという覚悟を国民として内外に示さないと、国民全体の今後にとって難しいことにもなりかねません。
これは、極めて我々の問題なのです。
この点、現在の皇室典範には、皇太子の記載はありますが、皇太弟といった記載がないので、仮に2016年7月(この記事の執筆時点)に譲位が行われると、次の天皇の時代には皇太子はいないという状態となります。
皇太子はいませんが、皇位継承第1位の弟君とその男子たる嗣子が第2位ということになります。
皇太子が秋篠宮とご相談などされて、そのまま次の世代に生前譲位をなさるようにご意思を発議されるのかどうなのか、兄弟なのでその間でしばらく譲位して天皇位についてもらうのか、といったこれまた近い将来についての議論が起こりうるわけです。
だんだん混乱してきました。
こういった状況ですが、少しずつ論点が整理され前向きな議論が行われることでしょう。
いずれにせよ、世界的に非常に珍しい国家元首政を持つ日本という国のあり方が問われる大変重要な話であることは間違いありません。
皇居外苑でよく弁当を食べたことが懐かしい筆者からは以上です。
(平成28年7月19日 火曜日)