おはようございます。
2014年12月の記事です。
鉄は産業のコメとも言いまして、産業革命時より国力を図る指標として粗鋼生産高が挙げられてきました。
高度経済成長が終わった後は、経済のいわゆるソフト化に応じる形で半導体にその地位を譲った面もありますが、それでも、粗鋼生産量はその国地域の経済力を表す端的な指標と言えます。
もちろん、日本の特殊薄型鋼板のように、他の追随を許さない高品質の鉄製品を作り出せる技術力や質の高さについては、この指標では測れないのですが、とにかく経済規模の成長度合いを時系列で追いかけるのにこれほど便利な指標はありません。
早速、各国別に見てみますと、まず日本は2004年に112百万トン、2013年で110百万トンです。
ここ20年ほど、ずっと1億トンレベルで推移しているのです。
覚えやすいですね。
対して成長著しい中国はといいますと、2004年に272百万トンだったのが、2013年では779百万トンです。
だいぶ差がつきました。
確かに人口は1億2千万人対13億人ということで、それほどの差ではないですが、量的にはかなり迫られてきたのがわかります。
鉄を作るためには、大量の電気が必要です。
消費と働き手が少なくなっていく日本において、さらに円安と電力料金高のダブルパンチにより粗鋼生産にはますます厳しい環境が待っているようです。
産業のコメと言われる粗鋼生産のこの状況は、日本経済のあらゆる場面において影響を与えるでしょう。
将来は決して楽観できません。
日本はこれから少子高齢化のトレンドが少なくとも40年は続くと見られます。
長い斜陽の時代を我々は生きるわけです。
対して、まさに日が昇る勢いで成長してきた東アジアの国々はどうでしょうか。
実は彼らも日本を上回る超・少子高齢化の時代を迎えます。
日本のものより更に急激な、まさに崖からころげおちるような社会構造の変化がかの国を襲います。
こうした国々のお手本になるように、これから生きたいと思います。
製鉄の街八幡に生まれ育った筆者からは以上です。
(平成26年12月18日 木曜日)