おはようございます。
2013年8月の記事です。
昔、2008年9月、巷で「リーマンショック」という世界的金融危機の引き金になった事象ですが、これはどうして起こってどう帰結したのかを振り返りたいと思います。
米国の大手投資銀行、この投資銀行という響きは高所得の専門家集団が働いているところというイメージがありますが、要すれば日本で言うところの証券会社、少し具体的に言えば顧客からの預け金が預金保険の対象にはなっていないノンバンク、といったところです。
預け金が預金保険の対象となるれっきとした「銀行」ではありませんのでご注意下さい(因みにこの金融危機後、かなりの投資銀行が、銀行法上の「銀行」に衣替えしました)。
この投資銀行、コールマネーという市場から吸い上げた借入金を操り、自己資本に加える市場からの借入金の比率であるレバレッジを極限まで高めて金融ギャンブルに邁進してしまうという良くないインセンティブも持っている存在です。
破綻したリーマンブラザーズのレバレッジは60倍だったとのことです。
これは、持っている資産価値が2%下落すればすぐに債務超過になるという水準です。
しかし危機に陥った米国大手金融業界もしたたかでした。
金融システムの維持、をお題目(人質)に政府に巨額の公的資金の投入を政府に迫ったのです。
確かに総体としての「金融システム」は守るべきですが、経営を間違えた個々の金融機関をただ救うだけでは、ギャンブルした損を政府(国民の税金)に被らせる、ということになり逆効果です。
事実、この金融危機後、金融システムの正常化の旗印の下、巨額の公的資金の投入が続きましたが、真に資金を必要としている中小企業や住宅ローンにあえぐ庶民に流れたという話はあまり聞かず、例えば破綻した大手金融機関幹部の会社残留ボーナスに費消されてしまったのではないかとも言われております。
私たちは、政治と経済の仕組みを丁寧に解きほぐし、しっかりと物事の本質を見据えた投資判断をしていきたいものです。
(平成25年8月29日)