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ラジカセ(昭和時代) |
おはようございます。
2017年7月の記事です。
2017年現在、世界中で有名な先進的な企業といえば、アマゾンにグーグルといったところでしょうか。
両者は、それぞれ創業者のベゾス氏、ラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏も合わせて有名で、それぞれが先進的なビジネスモデルで文字通り世界を引っ張っているといって良いと思います。
翻って日本の昭和の時代にも、そんな世界中の経営者や会社関係者が憧れた会社がありました。
その名はソニー。
経済史において、創業者井深大と盛田昭夫の名前と合わせて燦然と輝く歴史を持つメイドインジャパン、日本の会社です。
ソニーは、メイドインジャパンは粗悪品と呼ばれた戦後のイメージを変えたいと強く願って開発した最新鋭のトランジスタラジオを世界市場に投入します。
技術者でありながら抜群の営業センスと何よりその精力的な活動量で鳴らしたソニー共同経営者の森田昭夫は、トランジスタラジオを弱電家電の本場アメリカに投入し、単身ニューヨークに乗り込みます。
トランジスタラジオの世界展開を図ったのです。
そして、精力的な営業の甲斐あってアメリカの大手時計メーカーであり、50年の歴史を持つブローバー社が盛田氏が持ってきたトランジスタラジオに興味を持ちました。
そして、その製品に感嘆し、10万台の発注をしたのです。
しかし、ひとつだけブローバー社がつけた条件があります。
それは、ソニーの名前ではなくブローバー社のロゴでこのトランジスタラジオを売るように、というものだったのです。
OEM自体は事業戦略として全く問題あるものではありません。
現在のアップルで販売している例えばiPhoneシリーズなども、全て部品はOEM生産です。
日本の東京からも、10万台の受注だ、まずは契約しよう名前なんかとりあえずいいじゃないかという声も届きました。
しかし、盛田さんはこの受注を断りました。
海外にわざわざ不退転の決意で営業ツアーに出て行きながら、この大型発注を断る、この決断には、メイドインジャパンは粗悪品ではないと証明したいという強い想いがあったと思うのです。
売り上げや営業成績は大切である、でももっと大切にしたくて優先すべきものは、日本のメーカーの作る商品はoutstanding(卓越している)んだ、このことを証明したいという盛田さんのこだわりだったのです。
最終的にトランジスタラジオは日本の会社ソニーの製品として、アメリカで大ヒットすることになります。
技術屋であるがゆえに自信を持って説明し、わかってくれる相手に売る、こうして盛田さんは伝説の営業マンとしての逸話を残したのです。
ビジョンが決まれば具体的な行動に一本筋が通って気持ちが良いです。
何よりも必要なのはこうしたいというビジョンだという話でした。
技術もなく営業センスも持ち合わせない筆者からですが以上です。
(平成29年7月19日 水曜日)