(2015/04/01)常勝vs不敗と完全独裁vs民主共和制について銀河英雄伝説で考えてみるという話です
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さあ星々の海へ |
おはようございます。
2015年4月の政治体制に関するビルメン王提供のブログ配信記事です。
専制(独裁制)と共和制と、どちらがより効率的で人間社会を進歩させうる政体かという命題は、古代ローマ時代から人類の永遠の課題であるようです。
筆者がこの話題ですぐ思い出しますのは、最早スペースオペラの古典といえます田中芳樹「銀河英雄伝説」という物語です。
地球をはるか昔に飛び出して宇宙辺境まで進出した人類が、各星系に散らばり銀河連邦という「古代」国家を作ったところが人類のピークで、そこから衆愚政による腐敗が始まり、その不安と無秩序と弛緩した雰囲気の中、一個の超新星的人物の登場を迎えます。
大衆の人気を一身に受けた彼が一気に全銀河連邦全土の憲法と議会を時代遅れとして廃止し、銀河帝国皇帝という不可侵の存在になりおおせます。
しかしながら、その銀河帝国も建国から数百年、だいぶ往時のタガが緩んでしまい、辺境星系には自由惑星連合と呼ばれ共和制を志向するゲリラ的自由国家群が事実上存在するという混乱した状況を迎えてしばらく経ったというところが(長くなりましたが)物語のスタートです。
完璧な独裁者の誕生
ここに、腐敗した帝国には清廉清潔にして、容姿端麗能力最大値の金髪「常勝」若き天才ラインハルト・フォン・ローエングラムが登場します。最早少女漫画もビックリの美男かつ能力最高の完全人です。
リア充どころではございません。
同時に銀河連邦の歴史をそのままなぞったかのような衆愚政に陥った辺境共和国側には、食うために軍人になるしかなかった態度と素行の悪さとどこか醒めた言動が目立つ、決して優良な軍人ではないけれども、相手の心理の裏をかくことでは右に出るものがない黒髪「不敗」の提督ヤン・ウェンリーが登場する、というわけです。
孫子によれば、「彼を知り己を知れば百戦危うからず」とあります。
また、「戦わずして降すは善の善なるものなり」とも書いておりまして、ここにわざわざ勝てるとは書かずに危うからずと書いたり降すなどと書いているのは、負けないようにする不敗の思想を示したものだといえましょう。
そういうわけですが、理想に燃える完璧人間である帝国の「常勝」天才は共和国も滅ぼし併呑し、新・銀河帝国の初代皇帝にまで登り詰めます。
一方、「不敗」の提督は一度として十分な戦の権限も与えられないまま、最後は教条主義のテロに倒れてしまうという残念な運命をたどります。
保険としての共和民主制はかすかに残り物語は終わる
しかしながら、彼の志を継ぐ僅かな人々により、新帝国に対し民主制という人類運営の「知恵」をわずかな辺境自治区の一星系に認めさせるところで、物語は終わりとなります。
はっきり言って、大学の憲法の授業の副読本にしてもよいくらいだと思っています。
基本的人権とか国家の統治機構とか、改めて考えさせられると思います。
政治を人任せにして面倒なことを見ないようにしては、結局困るのは自分やその子孫たちであるということなのかもしれません。
とりあえず投票には行こうと思います筆者からは以上です。
(平成27年4月1日 水曜日 最終更新:平成28年4月1日 金曜日)
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