おはようございます。
2018年8月の、夏の甲子園決勝戦直前に配信する期間限定の記事です。
今年の夏の甲子園は、記念の第100回大会ということで、参加高校数56チームを数え、日々熱戦が繰り広げられました。
素晴らしい試合たちでしたが、おそらく本日行われる決勝戦は球史に残る名勝負となること間違いありません。
史上初の2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭高校と、秋田代表、公立高校および東北に初の大優勝旗を持ち帰るチャンスを得た金足農業高校。
この2校の決勝戦です。
この決勝戦まで、数ある好カードと名勝負を繰り広げられましたが、事実上の決勝戦などなく、明らかに、両校が降してきた名チームの名誉のためにも、これが真の意味での第100回大会の決勝戦にふさわしいカードであろうと思います。
片や無敗で全国の強豪に目標とされた大阪桐蔭と、雑草魂で勝ち上がって来た金足農業。
金足農業、スタメン9人と一人のエースピッチャーで勝ち上がって来た、まさに昭和から蘇ったような公立地元のチームです。
秋田の人たちはすでにお祭り騒ぎです。
街に人がいなくなり、パブリックビューイングでハイタッチする人の群れ、会社は休んでテレビ観戦、自動車で急遽15時間かけて秋田から兵庫県西宮市甲子園町の甲子園まで夜通しで観戦に来てしまい、そして決勝進出でそのままステイな人まで、まさにウルトラクイズかよw的状況に大騒ぎです。
大阪桐蔭も、単なる野球エリートというわけではなく、チームとしての態度も個々の選手の振る舞いも素晴らしい、本当の王者の風格と実力を兼ね備えた名チームです。
明日は忘れられない1日になるでしょう。
なぜこのような好対照なチームのカードが、夏の決勝戦で実現するのか、少し真面目に論じますと、中学でトップになっているという選手は実は成長ボーナスが早く来ているという「傾向」があるので、高校3年の夏時点で依然トップにいるというのも凄いことなのです。
つまり、ここに高校野球の大きな「課題」「問題点」が横たわっていると思うのです。
むしろ、選手としてのピークに向かっていく途上で他の選手との比較優位性がどの学年(中学、高校、大学や社会人、そしてプロ)で起こるのかを正確に見極める眼力があれば、その選手に即した長期的な指導ができるはずなであります。
この2高校の決勝というのは、そういう意味で非常に対照的であり、かつこの高校野球の2年3ヶ月でここまで勢力図が変わる、ほぼ素人が体躯がでかくなりわずか2年で先頭集団に挑めるところまで来れるという意味で非常に興味深いものがあります。
おそらく、中学軟式で鍛えている方が、身体の「ガタ」が来ていない可能性が高く、特にピッチャーの粘りはあるのではないか、とすら思われるのです。
その、「後ろから全力で追いかけてやってくるライバル」を蹴落とし続けて無敗でやってきた大阪桐蔭も凄いです。
中学王者だったからといって簡単に勝たせてくれるほど高校野球は甘いものではありません。
中学で144キロ投げるなど、明らかに成長が早いのですが、逆に高校では成長しきってしまったので後から抜かれた、なので記録員、とも言えるのです。
フジヤマのトビウオの古橋廣之進も、マラソンの瀬古利彦も、彼らのピーク時点でオリンピックに出れなかったため、残念ながらピークを過ぎての参加だったので、結果は厳しいものになりましたが、スポーツの世界はそういうものだと思います。
だからこそ、プロで長く活躍を続けた松井秀喜やイチロー、そして今日始球式をやった桑田真澄などは、伝説として語り継がれるのではないかと思います。
いずれにせよ、筋書きの全くないドラマが、本日1日日本列島を包むのは間違いありません。
高校野球の球児の味わう、この濃い日々に比べれば、自分はなんと薄い毎日を過ごしているのだと思ったりしますが、そこは置いておいて本日は両校の決勝の姿をしっかり焼き付けておこうと思いました。
野球はやっぱり面白いですね。
高校時代は山岳部で、真裏にあった野球部のピッチングマシーンの横で山行の準備をしていたことが懐かしい筆者からの回想は以上です。
(平成30年8月21日 火曜日)